全石連 森洋会長 2024年年頭所感

森洋全石連会長

 

 謹んで新春のお慶びを申し上げます。
 組合員の皆様には、従業員の皆様とともに、国民生活や経済活動に不可欠な石油製品の安定供給に、日夜、ご尽力いただいておりますことに感謝申し上げます。
 昨年は、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化、ハマスとイスラエルの戦闘といった地政学リスクにより、原油価格の高止まり、これに追い打ちかける円安の進展など、石油製品価格の高騰は、日本経済、国民生活に大変大きな影響を及ぼしました。

 こうした中、政府は昨年11月に閣議決定した総合経済対策において、12月末としていた燃料油価格激変緩和対策事業を今年4月末まで再延長することを決定いたしました。12月末で同事業が終了してしまうと、灯油需要の最盛期と重なり、価格や需給でSSは大混乱に陥ることが危惧されていただけに、ひとまず安堵しているところです。ただ、出口戦略につきましては、石油製品の流通に混乱を発生させることなく、いかにソフトランディングを図っていくか、引き続き、資源エネルギー庁や元売各社などと連携を密に図りつつ、今後の対応方針などについて注視して参ります。
 昨年末に再び、トリガー条項の凍結解除の問題が突如浮上してきました。トリガーの対象はガソリンと軽油だけとなっており、なによりトリガーの発動により起こる流通の混乱は、石油販売業者のみならず国民生活・経済活動にも大きな影響を与えかねません。また、発動あるいは終了する際に生じる在庫の問題、税務手続き上の負担増など、特に7割を占める小規模事業者の皆様の経営に大きな影響を与えることは必至です。トリガー条項の凍結解除には断固反対です。
 足元のガソリン市況は、首都圏をはじめとした各地の激戦地において、政府が激変緩和事業で昨年10月中の値下がりを見込んでいた175円を大幅に下回る異常な安値が、各地で散見される状況となっております。他方、激変緩和措置で卸価格が大幅に抑えられているためか、激戦地などにおいては、ガソリンの量販に傾注するあまり、人件費の高騰や電気代の上昇といった物価高に伴うコスト転嫁はほとんど進んでおりません。特に石油販売業界の7割を占める1SS運営の小規模事業者の方々は、一部の安値量販業者による過当競争によって需要を奪われ、厳しい経営に追い込まれております。このままでは、石油安定供給の基盤であるSSネットワークがさらに毀損してしまいかねません。
 こうした状況に対して、公正取引委員会では、ガソリンの廉売実態を把握するための地域別実態調査の第2弾に着手しております。春ごろには調査結果を取りまとめるとお聞きしておりますが、公取委による精緻な調査が不当廉売の抑止につながり、そして、調査を通じて廉売実態を明らかにし、その取り締まりの実効性確保につながることを強く期待しております。
 『SSの新たな利活用をめざすプロジェクトチーム』の先生方には、昨年11月まで16回にわたるご議論の結果、自民党石油流通問題議員連盟として、ユニバーサルサービス確保のための『SSネットワーク維持に向けた課題の進捗状況と今後の検討の方向性』を取りまとめていただきました。SS過疎地問題への対応や独禁法不当廉売対策の強化、災害協定と官公需の一体化の推進、合成燃料の早期実用化などを図っていくとともに、引き続きSS業界や関係省庁へのヒアリングなどを実施し、その進捗状況についてフォローアップしていくことになっております。また、法改正や新規立法も視野に入れた「新しい枠組み」についても、今春をめどに、これを具現化していくための検討を再開していただくことになっております。
 加えて、政府が求める物価上昇分を超える賃金アップをSS業界として目指す中、人手不足問題もあり、採算販売の重要性がこれまで以上に高まってきております。SSの人手不足は深刻さを増しております。賃上げは経費ではなく、経営存続に向けた投資であるとの考え方の下、引き続き、賃上げに取り組んでいくことが必要です。そのため、一般小売業並みの粗利益率20%以上の確保を目指して参りましょう。
 いまあるSSネットワークをこれ以上崩したくないというのが、私が首尾一貫して訴えてきた強い思いです。地域のSSが生き残ることこそが、人々の暮らしや命を守ることにつながっていくのです。全石連では、社会的使命感を持ってSS経営をしておられる皆様が今後も経営を存続させ、石油製品の安定供給を支え、地域に欠かせない社会インフラとして、住民の方々にその存在感を示せるよう、中小・小規模事業者に寄り添う『伴走型支援』を心がけて参ります。
2024年 元旦
全国石油商業組合連合会 全国石油業共済協同組合連合会
会 長  森  洋