会長年頭所感
謹んで新春のお慶びを申し上げます。
組合員の皆様には、従業員の方々とともに、国民生活や日本経済の原動力となっている石油製品の安定供給確保に、日夜、励んでおられますことに敬意を表するとともに、改めて感謝申し上げます。
昨年は新型コロナウイルス感染が第8波にまで達し、その猛威は依然衰えておりません。こうした状況にあっても、私ども石油製品販売業界は、石油の供給を滞らせるわけには参りません。SSに携わる方々は、まさにエッセンシャルワーカーとして、地域社会において欠くことのできない存在であります。引き続き、従業員の皆様の健康管理や感染防止対策を徹底しつつ、石油の安定供給にご尽力いただきたいと思います。
現在、政府の2050年カーボンニュートラル宣言と唐突な35年乗用車新車販売で電動車100%という方針が、我々石油販売業の将来に大きな壁となって立ちはだかっております。その中で、いかに個々のSSの経営力を強化し、全国に張り巡らされたSSネットワークを維持していくかが全石連の喫緊の課題となっております。
全石連では、SSを取り巻く経営環境の変化を踏まえ、「カーボンニュートラルに向けたSSが目指す5つの方向性=①総合エネルギー拠点化②地域のコミュニティ・インフラ化③多機能化(マルチファンクションSS)④協業化、経営統合、集約化、事業承継、公設民営SS⑤事業・業種転換等に加え、①~④の取り組みを加速させるDX(=デジタル・トランスフォーメーション)の活用」を全国の組合員に提言するとともに、5つの方向性に沿った先進的な取り組み事例を取りまとめ、全国に発信しました。まずは各々の石油販売業者が環境の大きな変化に対峙し、将来を切り開いていく努力を行っていくことを呼びかける一方、全体の7割を占める小規模事業者の皆様は、経営資源もおのずと限られ、主力商品である燃料油の需要を強制的に抑え込まれることの経営へのインパクトは甚大です。
このため、全国石油政治連盟と連携し、自民党石油流通問題議員連盟の先生方のお力をお借りしながら、SSの経営力強化に向けた政策支援を要請し、昨年度の補正予算に続いて、今年度の補正予算でも180億円のSS支援予算を措置していただきました。
その一方で、石油流通問題議連に『SSの新たな利活用をめざすプロジェクトチーム』を編成していただき、石油製品の安定供給というユニバーサルサービス確保のためのSSネットワーク維持策について、21年3月から昨年11月まで10回にわたりご議論をいただきました。
その結果、ユニバーサルサービス確保のためのSSネットワーク維持策を取りまとめていただきました。SS過疎地対策など国等による政策支援をセットにした具体策を今後推進して参ります。こうした取り組みでも実効が上がらない場合には、法制化も視野に入れた新たな対応策を検討していくこととしております。
この中で懸案事項となっている不当廉売問題に対し、公正取引委員会に「ガソリン不当廉売ガイドライン」を改定していただきました。ただ、その実効性がきちんと担保されるのかどうかが最大の関心事であり、今後の対応を注視していきたいと思います。また同時に、不当廉売が疑われるような価格については、あきらめることなく積極的に申告し、検証していくことが必要です。
他方、災害が各地で頻発する中、国のご支援のもと、SSに非常用自家発電機を設置した住民拠点SSの整備を進め、全国約1万5千ヵ所の整備が完了しました。災害はいつどこで発生するかわかりません。そのため全石連では、東日本大震災が発生した3月と防災の日の9月の年2回の稼働訓練を呼びかけております。こうした訓練を通じSSの災害対応力強化に努めていただきたいと思います。
石油業界のカーボンニュートラル対応として期待される合成燃料に関しましては、40年の商用実用化目標を30年代前半に前倒しして欲しいというのが石油販売業界の強い思いです。こうした中、昨年9月には合成燃料の開発を加速させる官民協議会が設立されました。また、自民党内に設立された議員連盟からも大変心強いサポートをいただけるなど、まさに、国家プロジェクトとして技術開発が加速し、世界に先駆けて実用化されることを期待しております。
全石連では、平時・災害時を問わず、エネルギー供給の"最後の砦"となるSSの社会的使命を全うしていくため、全国の7割を占める中小・小規模組合員の皆様の経営力を強化する組織活動を今後も推進していくとともに、全国の石油組合の活動もしっかりとサポートして参ります。
2023年 元旦
全国石油商業組合連合会 全国石油業共済協同組合連合会
会 長 森 洋