2014年5月


群馬・トップで製品備蓄事業を申請、採択第1号に
(5月26日付)

群馬県石油組合(小野里克巳理事長)に加盟する中核給油所などは5月20日、東日本大震災を教訓に、大規模災害を見据えた石油製品備蓄を支援する「災害時給油所地下タンク製品備蓄促進事業」に、全国のトップを切って全石連(関正夫会長)に事業提案の申請を行い、22日付で採択された。群馬県石油組合加盟の中核給油所などが事業採択第1号となったもので、今後は国・県・石油組合の三位一体の連携によって、中核給油所などを中心とした地域の災害時の安定供給体制の強化・拡充を図っていくことになる。
 同事業は、災害発生時に消防や警察などの緊急車両への優先供給の役割を担う中核給油所などに対し、一定量の在庫積み増し分に係る燃料購入費用と在庫の管理費を支援していく。都道府県などと連携することを補助対象要件に、国が備蓄燃料の購入費用と初年度分の管理費用を支援。都道府県などは国が措置する予算(15億円)とは別に、2年目以降の製品備蓄に係る管理費用を措置することが条件となっている。群馬県では、大規模災害発生時に必要不可欠となる緊急車両向けの石油製品供給をより確実なものにするため、新たに予算を確保して、2年目以降の管理費用を措置することとした。
 群馬県石油組合はこれまで、県と防災体制の構築に向けて積極的に連携を図ってきており、2011年12月には石油組合としては初めて、災害対策基本法による県の指定地方公共機関となったほか、今年3月に行われた総合防災訓練に、同石油組合、中核給油所などが参画して、給油所店頭で緊急車両への供給訓練を実施した。今回の申請に際し、県との間で、緊急時の安定供給体制の確保に向けて、100回以上の協議を繰り返すなど、緊密な連絡体制を取っている。
 現在、同石油組合は11年11月に県と締結した災害協定について、本事業の条件となっている燃料の備蓄推進を新たに盛り込む方向で県と協議を続けており、6月中旬を目途に再締結する予定だ。





火力発電設備状況・進む老朽化、リプレース不可欠に
(5月23日付)

今夏の電力需給を検証する資源エネルギー庁の電力需給検証小委員会はこのほど、原子力発電所の停止に伴って、電力供給の大勢を占め、安定供給の“最後の砦”となっている火力発電の設備状況をまとめた。震災前に比べ、火力発電全体に占める、運転開始から40年を経過した老朽火力の割合が10%から20%に倍増したことが明らかとなった。震災による原発事故によって、全国各地の原発が稼働停止に追い込まれる中で、新規の火力発電を設置する一方で、稼働を休止していた老朽火力発電を安定供給確保に向けて再稼働させたことが老朽化率を高めた主因とみられる。
 石油・石炭・LNGの老朽化率のうち、石油は震災前の10年度ではわずか6%だったが、原発停止で消失した電力をまかなうため、休止していた設備を次々と稼働させたため、右肩上がりで上昇し、13年度は35%にまで高まっている。
 老朽火力発電設備が突発的な事故あるいは計画になかった緊急補修など、予期せぬ停止に追い込まれた計画外停止の件数は、震災前と比較して1・7倍に増加するなど、事故リスクも高まっている。
 4月に閣議決定したエネルギー基本計画では、石油火力について、「電源としての利用量はそれほど多くはないものの、ピーク電源及び調整電源として一定の機能を担っている」と指摘。「可搬性が高く、全国供給網も整い、備蓄も豊富なことから、他の喪失電源を代替するなどの役割を果たすことができ、今後とも活用していく重要なエネルギー源である」と位置付けた。
 緊急時の電力供給の“最後の砦”として、老朽化した石油火力のより高効率・最新の設備へとリプレースを進めていくことが不可欠になっているといえそうだ。





東京都が水素社会実現へ戦略会議
(5月21日付)

東京都は5月16日、都庁で「水素社会の実現に向けた東京戦略会議」(座長・橘川武郎一橋大学教授)の初会合を開き、2020年東京オリンピック・パラリンピックでの燃料電池車(FCV)活用に向けた環境整備、および30年までを見据えた水素利活用の可能性と課題などを官民一同に会して議論を深め、普及戦略の共有・機運の醸成を図ることに着手した。トヨタやホンダは来年からFCVを市販する計画で水素ステーション(ST)の整備促進が求められる中、JX日鉱日石エネルギーと東京都石油組合(荒木敬一理事長)が参画。自動車メーカー、水素関連産業、学識者らとの討議に加わり、円滑な水素供給のあり方などを探る。
 舛添要一都知事は「水素は低炭素社会の切り札となる次世代エネルギーとして最も有望なものの1つで、経済効果も期待されており、FCV普及は環境負荷低減やエネルギー安全保障のリスク低減にも資する。普及には水素ST整備など困難な課題がある。国を挙げて普及に取り組むべきで、都として戦略会議を立ち上げ、水素の利活用を進めるための議論をお願いした。年末にとりまとめる“東京都長期ビジョン”に反映させ、率先して水素社会の実現に取り組み、環境と調和した未来型都市の姿を世界に印象付けたい」と強調。FCV・水素STのコスト低減を後押しする強い意欲を示し「FCVの電源供給能力を非常時発電に活かし、エコカー減税のような“防災カー減税”的な補助策も考え得る」「国の規制が障害となるようなら特区を活用するという発想がある」と具体的手法にも言及した。
 初会合では、水素エネルギーの特長として供給源の多様性、大型電源ともなるため非常時対応の観点からも有効と位置付ける一方、課題として①水素の安全性の社会的受容性向上②FCVの普及(現時点1000万円弱と高額)③水素STの整備促進(都心部での用地確保の困難性、諸外国と比べて割高な整備費。日本5~6億円、欧米1~2億円。都心3区に整備予定なし)④法規制(公道との保安距離が通常の給油所より長いなど)⑤人材確保(水素業務の従事者)⑥家庭・産業用燃料電池の普及拡大などを挙げた。
 そのうえで、オリンピック・パラリンピックでの活用に向けた環境整備のロードマップ作成、30年までを見据えた水素エネルギーの利用方針を明示することとし、具体的かつ実効性のある施策を構築することで一致。11月の会合で中間報告をとりまとめて、都長期ビジョンに反映させ、2015年2月に最終報告をまとめる方向性を確認した。
 同石油組合からは経営情報新燃料委員会の垣見裕司委員(垣見油化専務・JX系)、JXからは中央技術研究所の斎藤健一郎上席フェローがメンバーに名を連ね、プレゼンテーションのトップを切ってトヨタ、JX、パナソニック、川崎重工業が各社の取り組み状況などを説明。JXは「現状の支援策(建設補助)に加え、さらなる運営支援やリスク分散の仕組みが必要」などと訴えたほか、各社も水素STの整備や水素価格を低減させる重要性を指摘。また、自由討議で垣見委員は「すでに土地を持ち、危険物を取り扱っている給油所業界が水素も供給していくのが最も現実的。250坪程度の給油所でも対応可能なビジネスモデルが必要」などと提起した。



官民関係者が水素ST整備促進の必要性を確認




大分・流通在庫備蓄盛り、県と災害時協定を再締結
(5月19日付)

大分県石油組合(西謙二理事長)は5月15日、大分県(広瀬勝貞知事)と「災害時被災者支援協定」に調印した。協定を受けて県内の中核給油所、小口配送拠点は「災害時給油所地下タンク製品備蓄促進事業」に取り組む。製品備蓄促進事業の活用に向けて、県との災害時協定を見直すのは全国で初めて。
 協定は「東日本大震災での混乱を教訓に災害時での石油製品の供給を確実にするため防災拠点への優先供給と石油製品の備蓄を推進する」という趣旨。内容は、県や市町村庁舎、警察署、消防署、避難所、病院など防災拠点や重要施設に対する燃料の優先供給をする。また災害時に必要なガソリン、軽油、灯油の備蓄を推進する、としている。
 両者は2006年に、給油所が被災者に水道水、トイレを提供する災害時協定を結んでいるが、今回は新たに国が推進している「災害時給油所地下タンク製品備蓄促進事業」を盛り込んだ。同事業は、災害時に備えて給油所に一定量のガソリン、軽油、灯油を備蓄する事業で、中核給油所、小口配送拠点給油所は国からの支援を受けて燃料を購入、管理する。その後は県の負担によって、備蓄した燃料油を管理し、災害時に備える。
 大分県内には31の中核給油所、16の小口配送拠点がある。今後、石油組合が窓口となって県との間で、備蓄・管理について細かく検討する。
 調印式は県庁で行われ、西理事長と広瀬知事が協定書に署名、握手した。西理事長は「東日本大震災を教訓にして緊急時に私たち給油所が果たす役割について協定した。あってはならないことだが、大きな災害が起こった場合、持っている精一杯の力で被災者のために役立ちたい」と話した。また広瀬知事は「万が一の場合に備える協定で、給油所の存在を頼もしく思う」と述べた。



協定書に署名、握手する西理事長(左)と広瀬知事




北海道・全市町村に石油組合との災害協定締結を要請
(5月9日付)

北海道は4月下旬、道内全179市町村に文書を発信し、関係地方石油組合との災害時協定を締結するよう要請した。また、各(総合)振興局長、教育長、警察本部長にも文書を送り、「分離分割発注の推進」や「官公需適格組合の活用促進」での中小石油販売業者の受注機会確保・拡大に配慮するよう通達した。
 両文書は、北石連が3月14日に伊藤豊会長名で高橋はるみ道知事宛に提出した「官公需における石油類の調達に関する要望書」と、東国幹道議が同19日に道議会の「産炭地振興・エネルギー問題調査特別委員会」で行った給油所に関する質問・要請に応える形で道が発出したもの。
 各市町村長宛に知事名で送られたのは「災害時における石油類燃料の供給等に関する協定について」と題する文書。未締結の市町村に対して関係地方石油組合との災害時協定の締結を再度要請するとともに、石油類の発注の際には「分離・分割発注の推進」や「官公需適格組合等に対する配慮」を強く求める内容となっている。また、市町村が施設の管理を委託する「指定管理者」にも同様の配慮がなされるよう要望している。
 各(総合)振興局長と教育長、警察本部長には経済部長名で「ガソリンスタンド等を営む中小企業者等の受注機会の確保について」と題する文書が送られた。内容は北石連傘下の組合員が災害時に供給能力を十分発揮できるよう、石油類の発注では「分離・分割発注の推進」や「官公需適格組合の活用促進」により、中小石油販売業者の受注機会確保・拡大に配慮を求めるもの。各課や出先機関などの契約担当窓口にもこの内容を周知するよう要請している。
 中小石油販売業者の受注機会確保に関する文書は、2011年12月に道が北石連と災害時協定を締結した直後に各(総合)振興局長に出されているが、教育長と警察本部長への通達は今回が初めてになる。
 なお、両文書の引き金となった北石連の要望書では、給油所が地域の防災拠点としての役割を果たしていくために、災害時協定に参加している傘下組合員の受注機会確保について配慮を要請。東道議も道議会で「燃料の調達にあたっては、災害時協定に参加している給油所への一定の配慮が必要」と発言していた。






東京・中核給油所等の3運営者が安定供給体制作りで意見交換
(5月2日付)

東京都小平市内で中核給油所・東京都指定給油所を運営している全3事業者が4月18日に会合を開き、安定供給体制づくりの強化策などについて意見交換した。東京都石油組合多摩北支部(小川隆雄支部長)管内の小川商事鈴木町給油所(小川隆雄社長・EMG系)、滝島商事小平喜平町給油所(磯野康祐社長・JX系)、吉田商事セルフ小平給油所(吉田武社長・出光系)の3社長が参集。東日本大震災時を振り返りながら地場給油所の特徴的な役割を再確認するとともに、その存在意義に対する理解促進や地域社会との連携・協調関係を一層広げていく必要があるとの見方で一致した。
 意見交換では「地元給油所は地域の実状をよくわかっているし、いろいろなつながりもある。優先順位を踏まえたうえで、安定供給に努めていく」スタンスを相互確認。その一方で「供給したくても、在庫がなくなってしまえばどうにもならない。元売系列の枠を越えた円滑なローリー配送が行われることが重要だ」、「大震災後の経験上、いざとなれば地場給油所が頼られることになると考えられるので、連絡体制の確認を含めて市の防災訓練に参画し、双方がノウハウの蓄積を図るべき」、「道路上に連なる給油待ち車列への責任は我々の限界を超えるので、協調による対応が不可欠」などと総括。今後、地域社会と組合員給油所の連携体制強化を働きかけていくことにした。



地域社会との連携強化策などを意見交換した(右から磯野、小川、吉田の3氏)