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2016年6月


15年度・不当廉売「注意」が増加
 
   公正取引委員会が5月25日発表した2015年度の不当廉売案件のうち、石油製品に係る案件は、昨年12月の愛知県常滑市に所在するコストコホールセールジャパンとバロン・パークに対する「警告」が2件となったほか、「注意」が前年度に比べ15件増の341件となった。コストコが各地でSSの出店攻勢をかけるなど、ガソリンなどの過当競争が深刻化し、不当廉売の申告が増加していることが背景にあるものとみられる。
 小売業全体の注意件数は141件減の841件と、7年連続で前年を下回った。石油製品や酒類の注意件数は依然多いものの、3年前まで「注意」が3桁を超えていた家電製品が3件にとどまるなど、減少傾向が浮き彫りになっている。
 一方、石油業界では、ガソリンなどの需要減が顕在化する中で、採算を度外視した乱売競争が各地で拡大。ガソリンの廉売行為に対し、2010年1月に施行した改正独禁法への期待から、不当廉売の申告件数は急増し、09年度の石油製品の「注意」は956件と、前年度から一気に倍増した。
 だが、ガソリンの安値乱売競争にさらされている地場業者の間からは、「不当廉売で申告しても“注意”だけで、過当競争に対してなんの抑止力にもなっていない」と指摘する声が多く、09年度以降は申告数の減少とともに「注意」も減少傾向をたどっていた。
 15年度については、14年の夏場以降の原油価格の急落で、小売価格も値下がりしたが、需要回復には依然ほど遠い状況となっている。このため、一部の異業種やPBなど安値量販店が、業転格差などを背景に量販姿勢を強めており、元売販売子会社やJA-SSなどを巻き込んで、各地で採算度外視の乱売競争が激化している。各地で地場SSの廃業・撤退が進むなど、「これ以上のSSの減少は災害時や過疎地・離島地区などでの石油製品の安定供給体制に支障を来しつつある」などと、不当廉売申告には現れない乱売競争の拡大に危機感を訴える声が高まっている。